Page 1 ごあいさつ この度は、デイファレント.レルム久速の賢者を お買い上げいただきまして、誠にありがとうございます。 文明の繁栄と滅亡、そして数万年を経て新たな文明の復興c この悠久の時の流れを越えた者が出会う、 未知の人、未知の土地、未知の…。 そのひとつひとつの出会いが冒険になる。 そんな物語の世界を充分にお楽しみください。 ゲームをより楽しむため、プレイ前に本書をお読みいただき、 デイファレント.レルムの世界をご理解ください。 Page 2 目次 キヤフクター............................3 トウルーレル厶.........................13   卜ウノレ-レノレムとは?.................14   卜ウル一レルムの4大種族..............16   文明圏と非文明圏.................. 18   主な国々..........................20 テクノロジ一...........................23   2系統の技術体系基本技術と超技術.....24 先史文明............................29   先史文明人の遣産..................30 サイ才ニクス...........................37   サイオニクスとは? ...................38 胃然と生物.........................43   レルムの自然:と生物..................44 スタッフ...............................47 ユ一ザ一サポ一ト ......................48 Page 3 キヤフクター Character Page 4 ■ ス卜ックマン 本級の主人公。 ミレニアム陸軍に在籍する若き軍人科 学者。階級は少佐で、ス卜ンクマンという のはコードネームである。湾岸に位置す る第19総合研究所のエネルギー開発 部で、エネルギ一技師とU働いている。 部の資任者でもある。軍人とじTの戦 閼訓練も受けており、ミレニ•コンパウと 呼ばれ5軍式關殺法を使う。ミレニ•コ ンバウの極意とされる衝撃波と、地獄 車という投げ技を得意とする。 Page 5 ■ リーザッ八 ストックマンと同じくエネルギー開発部 に在籍する科学者。階級は少尉。そそつ かしくて調子がいいが技師としての腕 はよぐストックマンの片腕として働いて いる。軍人とじ^の戦閼訓練も一通り受 けているが、戦閼力は高いとは言えな い。弱い衝撃波と、巴投げを必殺技と してもつ。 Page 6 ■ シーセア 年齡24歳。 高いサイオニクス能力を持つ人間族の 女性。イシュメリアのアカデミーを卒業 1-てから技術協会に入り、先史文明研 究のために調査隊に志願す5。彼女は 先史文明の技術力ではな〈、先史文明 そのものに興味を持っている。 Page 7 ■ テイポル卜 飛翔族の誇り高き戦士。 ティボルトは王族階級にあたるが、ちよつ とした陰謀により不名誉にも祖国を追 われる。武士のような言葉を喋り、自分 の搴を『拙者』と呼ぶ。空高く舞い上 がっては急降下し、敵の脳天めがけて 必殺の一撃を放つ必殺技をもつ。 Page 8 ■ シユドラール パーフエナの村に住む龍牙族の戦士。 ラパリ一ルという一卵性の兄をもち、戦 闘能力は兄よりも高い。同族意識に欠 ける龍牙族だが、一卵性の双子のため 貧弱に生まれついたこの2人はいつも 力を合わせて魅命に生きてきた。故に 他の龍牙族の者達に比べ、兄弟意識 が非常に高い。兄ラパリールに比べ、外 向的で活動派である。どんな敵をも跳 ね飛ばす、強力な尻尾のー擊をもつ。 Page 9 ■ ジョビ卜ル博士 先史文明人の遗産を研究し、多くの論 文を発表!^ている先史文明学の権威。 その高い知識で、発掘された先史文明 人のアイテムのほとんどを難なく使い こな1'。研究のかたわら、アカデミーの 非常勤講師とい:働いていたが、数年 前に突然退職し、イシュメル南西に位置 する小島に研究所を建てて移り住んで いる。 Page 10 フエダイン特務隊 正式名称は、エルフェダイン技術探査機構特別部隊。 世界中に点在する先史文明人の遗跡を発掘調査し、その技術を持ち帰るために構成された エルフェダインのエリート集団。戦士としても技術者としても高い評価を持つ者達が、4人1組 とじし現在十数チームが世界中に派遣されている。 ジーナス、ガ一ベリー、ラキュ一イ、パインチヤの4人は第6班、イシュメル方面祖当となっている。 ■ ジーナス 大型の槍を武器とするフIタイン特務 隊のリーダー。冷静な判断力と高い 戦鬪能力を持ち、特務隊貝からの信 頼も厚い。高いクリオキネシス系能力 を持つが、それ以外のサイオニクスは 使えない。屙から腰にかけて、背中に 大きな火傷の跡があるる。 Page 11 ■ ラキューイ フエダイン特務隊の隊興。 左腕に赤いバンダナを卷いているの が特徴。性格はやけに明るぐガ一べ リーとは対照的に細かい搴はまったく 考えないタイプ。格翮術の師匠に授 かった『月華』と呼ばれる2本のナイフ を武器とじて使う。特務隊の中では 1番動きが索早〈、ナイフと格鬪術を 組み合せた特殊な戦法から离い攻 擎力を生み出す。 ■ ガ一べリー フェダイン特務隊のサブリーダ-。 大きな作戦ではいつも#謀的役割を 果たし、ジーナスの頼もしい片腕と なっている。ロ数は少ない。クロスボウ を自在に操り、その腕前は飛んでい令 蒸さえも簡単に射落す。特務隊の中 で峨ーヒーリング系能力を持つ。 ■ ノくインチヤ フエダイン特務隊の紅一点。 ヒーリング系能力以外全てのサイオ ニクス能力を持つ。護身用の短銃を 携蒂じI:いるが、ほとんどの場合後衛 でサイオニクス搛隳に徹じ^いる。い つもジーナスの安否を気遺っている。 右胸にえぐるような傷がある。 Page 12 Image Page 13 卜ウノレ-レノレム Ture Realm Page 14 "デイファレント.レルム"の舞台と なるのはひとつの惑星世界で、どこかの 見知らぬ宇宙に属している、地球よりも はるかに大型の惑星だ。ただ、夜空に光 る月(衛星)が4つあることを除けば、 地球とよく似ていて、重力や人気の机成 などの基本的な性質はほとんど変わらな い。 この惑星は、直径が地球の約4倍もあ り、表面積に至っては、約50倍にもなる 広大な世界だ。惑星の表面の二分の一近 くを占めるのが海で、海洋には三つの大 陸と大きさもさまざまな無数の島が浮か んでいる。 そこには、異質なかたちで高度な発達 を遂げた文明が、いくつもの種族と国家にわかれて栄えており、科学技術にしても、物質 的な面では遅れているものの、精神的な面では地球よりも大幅に進歩しているのである。 そして、この惑星世界は、そこで暮らしている住人たちから‘‘トゥル一レルム“(また は、‘‘レルム”》と呼ばれている。 トゥルーレルムという言葉は、「真なる世界」という特別な意味を持っているのた(それ にくらべて、単にレルムとだけ言うときには、それは「世界」とか「母なる惑星」くらいの 意味しかない)。その特別な意味には、この世界の竹学者たちの思想が反映されている。 哲学者たちは、宇宙全体を多様性に富んだいくつもの世界が並行して存在する多元宇宙 と考え、さらに自分たちの世界を宇宙の中心に座する世界だと推測した。無数もの多様な 宇宙の中心であるということは、逆にあらゆる世界の可能性をすべて秘めているというこ とをも意味する。それは、自分たちが住む世界こそが真なる実在であり、他の世界はその 影にすぎないということだ! 柯学者たちがそう考えたのには、もちろん理由がある。この世界には、それほど多様な 説明のつかない変化というものがあふれているからだ。 たとえば、トゥルーレルムには、地球上には見られない多種多様な生物が数多く棲息し ている。しかも、そうした生き物たちの中には、どうやって進化してきたのか想像もつか ないほど異質な生物も存在する。そのうえ、同じ種に属する生き物でも、おびただしい数 Page 15 の変種や珍種などが生み落とされては、生命における変化をさらに複雑で際限のないもの にしている。 また、トウルーレルムのことを説明するうえで、忘れてならないものに“先史文明人” とその遗産のことがある。 先史文明人とは、現在の文明が興るより前に、数万年もの太古に栄えた超文明を築いた 人類に似た種族だ。この先史文明人について残されている手がかりは少なく、どういった 種族だったのかはよくわかってはいないのだが、魔法に匹敵するほどの恐るべき高度な科 学技術を持っていたことと、壊滅的な終末戦争によって滅亡したことだけは知られている。 惑星の地表には、この先史文明人の遺跡がいくつも残されており、遗跡から発掘した先史 文明の遺産が、現在の文明の発遂を促したのだ。 しかも、先史文明人の技術力はあまりにも完璧で、遗跡から発掘された機械類には、悠 久の時を経てきたにも関わらず、そのまま使用に耐える状態に保たれていたものや、修理 すればじゅうぶん使えるものも多くあった。その結果、現在のレルムでは、先史文明の恩 恵を受けて発達した産業革命レベルの技術と、先史文明の超技術が混在するという、非常 に奇妙なテクノロジー体系が確立されている。 拳銃とビームガン、飛行艇とフライヤ一の共存なんかが、例としてわかりやすいだろう。 この先史文明人とその遺産の存在も、レルムの多様性に—役買っているわけだ。 それはともかく、トゥルーレルムは広大で、そのぶんだけ自然の脅威に満ち満ちた世界 だ。俺は果てしなく広がり、陸に目を向けてみても、そこには星まで届くかのような山脈 がそそり立ち、砂漠やジャングルはかたくなに文明の侵入を拒み絞けている。人間を始め とする知的種族が住んでいるのは、全惑星のわずか十分の一程度に過ぎず、後は人跡未踏 の秘境として残されているほどだ。 レルムでは、どれほど文明が発達しても、それだけでは自然の猛威に太刀打ちすること はできない。そこで、厳しい自然環境に適応して生き延びるために、超能力であるサイオ ニクスの能力が発達したのだ。これは、特に文明がまだ未発達だったころには、重要な意 味を持っていた。レルムの知的種族は、すぐれたサイ才ニクスの能力に後押しされて、文 明を築いてきたと言ってもいいほどである。 おかげでサイ才ニクスは、フアン夕ジー世界で魔法(魔術師)が恐れられているのとは 違って、レルムの一般生活に浸透している。たとえば、大きな街にはテレパシー能力者が いて、通信手段のかわりをつとめているし、病院には医師とともに治癒能力者が待機して いる。テレキネシス能力者や発火能力者などは、ふつう高級軍人として一国の軍隊に採用 される。このように、サイ才ニクスは、社会にとって貴重で有益な才能として認められて いるのだ。また文明が発達した現在では、優秀なサイ才ニクス能力者が減ってゆく一方で、 逆にサイ才ニクスの存在はますます重要視されている。 Page 16 卜ゥルーレルムの4大勸疾 | 人間族 人間族は言うまでもなく、人間だ。肌や髮の色が多少違ったり、独特の文化と生活習憤 を持っていたりということはあっても、本質的に何ら変わるところはない。強いて特徴を 挙げれば、サイ才ニクスの才能の点で傑出していて、他の種族をはるかに凌駕しているこ とだろうか。また、最も高度に発達した技術文明を築いているのも人間族で、銃火器や飛 行船などの機械類は、人間族の専売特許だ。 巨人族 巨人族は、体格の大きい人間と言ってもいい種族だ。身長は三メートルほどで、体重も 四百キロを越す。美しい容姿に、強靱な肉体と生命力を備えているのが特徴。フアンタジ 一世界で巨人族と言えば、ただ体の大きい原始人というのがお決まりだが、トウルーレル ムの巨人族は、文明を嫌って荒野で暮らすことを選んだ弧高の種族だ。イメージ的には、 北米インディアンなどを想像するとわかりやすいだろう。巨人族は祖先の伝統と精神文化 を重んじる種族で、部族ごとに放浪の生活を送っている。また、種族的にサイオニクスの 才能をまったく欠いているかわりに、サイオニクスに対する強力な抵抗能力を持つ。 飛翔族 飛翔族は、人間によく似たニ本の前肢を持つ、直立した鳥に似た種族で、全身を羽毛に 覆われ、背中には大きな翼が生えている。言わば“鳥人”であるのがこの種族だ。鳥類と 血がつながっているらしく、群れと巣を中心とする社会構造や、舞踊による礼儀作法など、 鳥としての性格を多く残している。目や耳などの感覚が非常に銳く、動きが目にもとまら ないほどすばやいことが特徴。キャラクターとしては、空を飛べることも大きな長所だ。 文化的にもとても洗練されたものを持っていて、人間族に次いで高度な技術文明を築きあ げている。 Page 17 蘸牙族 龍牙族は、爬虫類から進化した長命な種族で、体の大きさは、身長ニメートル、体重三 百キロと、人間族をひとまわり上回っている。龍牙族の最大の特徴は、その冷静な論理的 思考力、純粋な知的能力という点では他の種族の追随を許さないものを持つ。しかし、そ れだけの知性を備えていながら、生まれながらのハンターとして、本能に支配される一面 を持つので、血を見ると先祖返りして狂暴になることがある。狂暴化した龍牙族は、牙と 鉤爪を使った肉弾戦で、恐るべき戦闘能力を発揮する!それでも、ふだんの龍牙族は、 哲学的な思索活動に没頭し、孤独を愛する賢者なのだ。 Page 18 文明圏と非文明圏 トウル一レルムには、さまざま な文明国家が存在する。 しかし、惑星としてのトウル一 レルムが、桁外れに大きく広い世 界であることは、前述でも触れた 通り。表面積が地球の約50倍とい う広さは、いくら想像をたくまし くしても、とても想像しきれると いうものではない。その広大な世 界にくらべると、ようやく産莱革 命のレベルに達したばかりのささ やかな技術文明程度では、何ほど の力も持たないと言っても、あな がち間違いではないだろう。その おかげで、レルムに居住する四つ の知的種族は、惑星全土を完全に支配下におくことはおろか、どこに何があるか知ること すら、まだ満足にできていない状態にとどまっているのだ。 そのこともあって、このレルムは、知的種族が居住し文明を築いている領域(文明圏I と、まったくの未開の領域(非文明圏)に大きくわかれている。しかも、実際に文明圏に 属していると呼ぶことができるのは、全惑星のわずか十分の一程度でしかなく、後はすべ て人跡未踏の秘境として残されているのにすぎない。 そのため、レルムには西のサンデイアナ、東のアデラ一サ、クラドシアという三つの大 陸が存在するにも関わらず、文明がしっかりと根を下ろしているのは、このうちクラドシ アを除いた二つの大陸だけになっている。 そのうえ、サンデイアナ大陸でこそ、まだしも文明が大陸全域に広く分布してはいるも のの、アデラーサ大陸では西岸沿いの一部に集中しているだけ。大陸中央から東岸にかけ ては、奥深いジャングルに閉ざされているというありさまだ。クラドシア大陸にもなると、 これまでに確認されただけでは、文明と呼べるものは何ひとつ存在していない。そこは、 まさに未知の危険が待ち受ける暗黒大陸なのだ。 このように、広大なトウルーレルムでは、文明国家といえども、圧倒的な広がりを見せ る未開の非文明圈の前ではまだまだちっぽけな存在だ。惑星の広さにくらべると、知的種 族の人口はあまりに少なく、町や村を中心に点のように居住しているだけ。それどころか、 Page 19 国の中にも未開の荒野が多く残されているような状態で、国境を接する辺境からは自然の 脅威が押し寄せてくる……この世界では、知的種族が広大無辺のフロンティアに乗り出し ていく準備は、まだ整っていない。 とはいえ、レルムの文明国家には非常にユニークで特徴的なものが多くなっている。 国によって政治のシステム、産業、文化、宗教観などが違うのは当然としても、トゥル 一レルムならではの要素として、種族や科学技術のレペルまでが異なっているので、国ご との印象がずいぶん変わってくる。 特に種族の違いは大きな意味を持っている。それは、種族ごとに国というものに対する考 え方自体が違うからで、中には国を作らない種族もある。巨人族は部族を中心とする故浪 の民族で、国のような大きな集まりを作ることを好まないし、超個人主義者の龍牙族に至 っては、部族どころか十数人規模の自給自足のコロニ一(群落)を作るのがせいぜいで、 他種族の領土の片隅で暮らして満足している0そういった意味では、まともな文明国家を 築きあげているのは人間族と飛翔族くらいなのだが、この二つの種族の間でさえ、ひと言 で国家と言っても大きな隔たりがある。なんと飛翔族にとっての国とは、たくさんの群れ が集まった、単なる巨大な巣の集合体のようなものなのだ。 Page 20 主な国々 イシュメ ノレ。統と先端技術が交わる混成文化の国 イシュメルは、西方のサンディアナ大陸の最南端にある人間族の国家だ。イシュメルは、 五百年の歴史と伝統を誇る由緒ある国で、文明の発達ぶりでも最先端を行く、非常に洗練 された文化を持つ国だ。 イシュメルは、歴史のある国にしては珍しく、古い伝統と新しい思想がうまく調和を保 っていることで知られている。外来の文化にも寛容で、それらが混然一体となって、ひと エノレフエダイン 最高の職業軍人を輩出する傭兵の国 サンディアナ大陸の北西部のはずれにあるこの人間族の 国は、“傭兵国家’’としてレルムじゅうに知られている軍 人の国だ。 かつてのエルフェダインの国土は岩だらけの荒野で、作 物は実らず、鉱物などの天然の資源にも恵まれてはいなか った。しかも、そのわずかばかりの収穫物も、近隣の諸国 から攻めこんでくる蛮族によって容赦なく略奪されてしま うことが多かった。住人の生活は、これ以上はないくらい に非常に厳しいものであった。しかし、厳しい環境はそれ に耐えて生き残るだけの屈強な民族を育んだのだ。そして、 いつしかエルフェダインの住人は、力強く、タフで、技に も長けた最高の戦士として知られるようになつていた。 Page 21 カイアネス アネス神教を信仰する神聖帝国 カイアネスは、サンディアナ大陸東部にあってイシュメルと国境を接する大国だ。カイ アネスも人問族の国家だが、この国には他の国には見られない際立った特徴がある。 その特徴とは、この国が国全体を挙げてひとつの宗教を信仰する宗教国家であることだ。 ‘‘カイアネス”という国名自体が、そもそも「アネスの栄光」という意味であるように、 この国では至高神アネスを信じるアネス神教が信仰されている0 カイアネスは、このアネス神教の総本山で、国の政治、文化は言うまでもなく、ありと あらゆるところに宗教思想が浸透している。 Page 22 Image Page 23 テクノロジ一 TECHNOLOGY Page 24 2系統の技術体系基本技術と超技術 トウルーレルムのテクノロジーは、大きくわけると、“基本技術”と"超技術”のニ系 統にわけられる。このうち、基本技術(ベ一シック.テック)は、ぼくたちの世界で歴史 とともにテクノロジ一がゆっくりと進歩してきたように、自然発生的に発達した技術と、 その産物のことを意味している。これに対して、超技術(ハイパー-テック)というのけ. 言うまでもなく、神秘的な先史文明人の技術とその遺産のことを意味しているわけだ。 結びついた技術の生み出したもの ゲームの舞台となるトゥルーレルムの現在は、“機械革命”より約二百年が過ぎ去った 後に当たる。この二百年あまりの間にレルムの世界は大きく変貌を遂げた。二百年前のレ ルムは、中世じみた農業中心の鉄器文明から、ようやく次の段階である工業中心の機械文 明へと移行しようとしていたところであった。 そのころは、まだ交通機関と言えば、飼いならした騎奄 や、動物に引かせる牽引車(馬車に似た二輪、または四輪 の無動力車)しかなく、照明器具にしても、獣脂から作っ た質素なロウソクや、ススの出るオイルランプくらいめも のだった。やがて本格的な工業生産が開始されて、衣服や 迫具の類だけは整富に行き渡るようになったが、テクノロ ジーはまだまだ未発遂に近かった。それでも、工場が建設 され、手作業とはいえ、同じ製品を大悬生産するというこ とは、当時においては画期的なできごとだったのである。 だが、“機械革命”の洗礼を受けると、状況はすっかり 様変わりしてしまった。近代産業の基盤として必要なありとあらゆる基礎技術が、ほとん ど一夜にして、先史文明という名の泉から突然わき出してきたのだ。 “機械革命”の動きが本格化していく過程で、新しく発見、開発されたり、性能が飛躍 的に向上した技術とその産物は数多い。少し例を挙げてみても、双眼鏡や望遠鏡などの光 学機器、各種の合金やアルミニウム、ゴムなどの新素材、時計、発電機、畜電池、スプリ ング、マッチなど、ひと つひとつ並べ立てていけ ばきりがないくらいであ る。 Page 25 その中でも、特に進歩が著しかったのが交通機関だ。 まず初の動力機関である流体反応エンジンが開発された。このエンジンは、先史文明の 技術をあますところなく応用したレルムの技術力の枠というべきものであった。その仕組 みは、ある種の高澳度の混合液を燃料とする、かなり先進的な設計思想で作られた内燃機 関なのだが、高出力でありながら構造が簡単で、生産も楽だったことから、同じころに独 力で開発に成功していた蒸気機関を、実用化を待たずに過去のものにしてしまった。 そして、すぐに帆とともにこの最新のエンジンを装備した新型の動力船が、さらには、 基本技術の産物では初めての空を飛ぶ機械として、飛行船が出現した。もっとも、さすが に有!!の飛翔体を作ることはまだむずかしく、航空機の方は何とか実用化に漕ぎ着けるの でさえ、以後百年あまりの年月を必要とした。しかし、その間にも、飛行船は設計と改良 を繰り返して性能を高め、レルムじゆうで大いに持てはやされるまでになった。その普及 ぶりは、飛行船乗りが船乗りと同じくらい頻繁に街で姿を見かけられるくらいである。 ただ、実のところ、飛行船がそんなに普及したわけは、その輸送能力もさることながら、 何ぶん文明圈を一歩でも離れると、どんな危険が待ち構えているかわからない陸の旅と違 って、空の旅はまだしも安全だったからなのだ。現在では、飛行船は、遠く離れた都市と 都市の間を結ぶ連絡船と丨て、また、交易や探検などの目的でも幅広く使用されている。 ー方、おもしろいことに、なぜか自動車はいまだに実用化のメドが立っていない。これ については、エンジンがまだ大型で車体への搭載がむずかしいことと、安価で飼育しやす い馬がわりの騎竜が、レルムの至るところで好んで使われていることが大きな原因だろう。 Page 26 トウノレ一レルムの武器体系 しかし、“機械革命"の影響を最も強く被ったのは、他でもなく、 戦争の逍具である武器だった。現存する新しい種族の歴史が始まっ て以来、重い鋼鉄の剣と申胄が主流を占めていた戦場に、遂に本格 的な火器が現われるようになったのだ。 レルムでは、歴史の早いうちから火薬の存在こそ知られていたが、 それを戦場で武器として使うようになったのはごく最近のことであ る。もちろん、強力な火砲や銃器などはまだ存在せず、攻城戦の際 などに投擲爆弾として使われる程度でしかなかった。戦闘の主力は あくまで、檐を携え楣をかかげて騎竜にまたがる騎兵や、剣や斧を ふるう歩兵だった。飛び迫具と言えば弓か石弓のことで、投げ槍も じゅうぶんな威力を発揮した。そこへ現われたのが、強力な火力 と速射性能をあわせ持つ拳銃とライフル銃だったのだ。 こうした銃器は、他の新しい発明品と同じく、先史文明人の遗産 をもとにして開発された。先史文明人が残したものの中には、当然 のことながら、弾丸発射型の銃器を始めとする各種の携帯火器もあ った。レルムの技師たちは、そこから火薬を使用する銃のアイデア と、それを作るのに必要な技術を学んだのだ。 しかも、ここでは、火薬銃というアイデアが先にあって、满足のいく結果を得るために、 苦労しながら工夫を重ね、設計を煮詰めていったわけではなく、(太古の遗産とはいえ) どの点から見ても既に完成済みの現物が先にあって、言わばそこからコピーを作っただけ のことなのである。おかげで、レルムには、火縄銃やマスケット銃といった銃器発達史の 前の段階をすっ飛ばして、高性能の近代火器がいきなり出現してしまったのだ。 これらの銃器は、弾を後から装填する後装銃というタイプで、弾薬は扱いやすい金属菜 夾に収められており、誰でも簡単に使用することができる。性能や威力は、西部劇に出て くる銃と似たようなもので、見た目の感じもほとんど変わらない。リボルバーやレバーア クション.ライフル、二連式のショットガンなどだ。 初歩的なオートマチック拳銃もあるにはあるが、こ ちらは信頼性が低く、故障しやすい。よくァクショ ン映画などで目にするような最新型の銃よりは、性 能も落ちるし威力も弱いわけだが、それでも銃とし てはかなりのものである。もちろん,機関銃などの 自動火器が発明されるのは、(いくらトゥルーレル ムでのこととはいえ)まだしばらくは先の話になる だろう。 Page 27 さらに、銃器としては、火薬式の銃のほかにも、高圧ガスで鋼鉄製のダートを擎ち出す “ダ一トガン(射矢銃)”も開発されている。こちらは、主に護身用と狩撖用を目的とし た銃で、弾丸である鉄矢に毒や薬を塗って使用できるのが大きな特徴。ただし、ガス圧式 のため、火薬式にくらべて射程がかなり短くなるという欠点を持っている。このダートガ ンは、火薬式の銃より後でようやく実用化された最新型の武器なのだ。 ともかく、こうした銃器の出現は、レルムにおける戦争の様相と武器の体系を大きく変 化させてしまうにじゅうぶんであった。かつて火縄銃の出現で戦国の世の勢力図が塗りか えられてしまったように、銃器は各国の軍隊の間にまたたく間に広まった。機械を忌み嫌 う神聖帝国カイアネスの神殿騎士団でさえ、銃器の導入には熱心だったほどだ。 [ただし、銃器にしろ他の発明品にしろ、開発はすべて人間族の手によるものであった。 飛翔族の文明も高い技術レベルを誇っていたが、人間族にはわずかに及ばず、先史文明人 の遗産を研究して理解できる段階にまでは達していなかったのである。本来ならレルムの 四大種族の中で最も高い知力を持つはずの龍牙族は、機械にはそれほど関心を持とうとし なかったし、巨人族に至っては、遺跡に関わることすらよしとはしなかった。 そのため、銃器の出現が、レルムの武器体系を完全に塗りかえてしまうようなことはな かったのである。人間族を除く他の三種族は、依然として従来の刀剣や弓矢に頼っていた し、その人間族にしても、銃とともに必ず刀剣の類を携帯するのがふつうであった。また、 銃器は非常に高価で、商品として出回る数も少なく、誰もが銃を持てるわけでもなかった。 全体的に見ると、現在のレルムでは、銃を持つ者の数を2割として、残りの8割を銃を持 たず、昔ながらの武器を使用していると見るのが正解であろう。 それに、どちらかと言うと、武器である刀剣より防具である鎧の方が、銃器出現の影響 をさらに手厳しく被ったと言えるだろう。 銃器の出現で、動きを鈍くするばかりか、着ている者を銃弾の標的にしかねない重厚な 金属製のプレートアーマー(板金鎧)は一部の重装騎兵の軍装を除いて姿を消し、もっと 鞋くて動きやすい、防御と防弾、両面 で効果が高い防具が好まれるようにな ったのだ。現在では、革製の防具にス チール製のメッシュを埋め込んだもの や、他の防具に被せて使う、胸だけを, 防護する珐甲板などが広く使用されて いる。そのうえ、最近では、全身を隈 なく覆う完全鎧を着るような無駄なこ とはやめ、必要なところにだけ部分鎧 を着けるスタイルが主流になってきて いるようだ。 Page 28 Image Page 29 先史文明 PREHISTORY CIVILIZATION Page 30 先史文明人の遺産 さて、ここまでは主に現在のレルムのテクノロジー、つまり、基本技術とその発展に限 って話を進めてきたが、ここからは先史文明人の超技術の実態を見てみることにしよう。 まず最初に、先史文明人の科学技術の力がどの程度のものだったのかを説明しておくと, これに関しては、ひと言で言うと、「科学によって達成できると思われる目標を、ことご とく成し遂げていたほど」と言うことができる。もっとわかりやすく言うと、つまりは、 彼らには不可能なことなどなかったということだ。「進んだ科学は魔法と見わけがつかな い」とよく言われるが、先史文明人の超技術こそは、まさに魔法と言っても過言ではなか った。そして、先史文明人は、その超絶的なテクノロジーを思うままに行使して、この惑 虽だけでなく、宇宙全体をも支配し、時間や空間すら遙かに超越していたのだ。 こうした先史文明人の文明は、おそろしく高度に発遂した機械を基本とする超機械文明 で、彼らの作り出した機械類は、まるで生き物のように複雑な自律調整と自己修復の機能 をあわせ持ち、ほとんど無限に近い期間、完璧に作動する動力源を備えていた。 現在レルムじゅうに点在している先史文明人の遺跡は、ほとんどが琳なる残骸にすぎな いが、多少とも原型を留めている遺跡からは、何万年もの悠久の時を経てきたにも関わら ず、依然として申し分なく機能する機械類がいくつも発見されている。 遣産の発見と獲得 先史文明人の遺産の中には、国家や個人の所有となって、現在のレルムでも公に使用さ, れ続けている機械も少なくない。超技術の産物は、どんなにささいなものであっても、何 十世紀も先を行くテクノロジーの枠を集めたものだ。その点、近年になっていくら著しい 発達を遂げたといっても、現在のレルムの技術水準で作れる製品などは、それにくらべれ ば、よく言って細工のわるいレブリカのようなものにすぎない。だとすれば、誰もがこぞ って先史文明の機械を探しもとめ、それを所有したがる傾向があるのも当然のことと言え るだろう。 もちろん、人跡未踏の辺境の奥深くに隠されている遺跡を発見し、そこから価値ある品 を正しく選んで持ちかえることは誰にでも簡単にできるということではない。レルムの知 的種族の中では、人間族が先史文明の遗産の獲得にいちばん貪欲だったが、運よく遗跡を 見つけ出して生還できた者の数は、過去の例では数百人にひとりか、それよりも少ないく らいである。それには、ある意味では、金鉱を掘りあてることに等しい幸運が必要なのだ。 しかしそれでも、過去に数多くの探検家や山師が遗跡の探索に挑んでは、さまざまな発 見品を持ちかえってきた。そして、そうした発見品は、あるものは国に没収され、あるも のは売りに出され、またあるものは発見者が個人的にとっておくなどして、除々に一般の 生活の中に浸透していったのである。 Page 31 ただし、人々が最初から先史文明の機械を喜んで受け入れていたわけでは決してない。 文明がじゅうぶんに発達していなかったもっと初期のころには、先史文明人の遺産は、 夢のようにすばらしい魔法の機械か、恐るべき悪魔の仕掛けだと思われていたのだ。 ここで試しに、使用法も作動原理もよくわからない未知の機械を使おうとすればどうな るか、想像してみてほしい。うまくすれば、その機能の一部を活用するくらいならできる かもしれない。だが、予想のつかない深刻なトラブルが発生する確半も、それと同じだけ 確実に存在する。これは、リスクの大きい賭けのようなもなのだ。 先史文明の機械がまがりなりにも使用できるようになったのも、“機械革命”による近 年のテクノロジーの大発展があったからこそなのである(そのおかげで、せっかくの基本 技術の成果を差しおいて、先史文明の機械が重宝されるようになったというのも皮肉な話 だが)。 ところで、そうやって発見された先史文明人の機械の中で、何よりも重要な価値を持っ ているものに、“トランスボッド”がある。 これは、直立した巨大な卵型のカプセルのような機械で、中に人間がひとり座れるシー トがあり、シートの両肩から突き出たニ本のアームの先には、ボーリングのボールほども ある大きなクリスタルの玉が付いている。つまり、人間型の生き物がシートに座ると、ク リスタルが両方のこめかみに密着するようになっているわけだ。この機械は、一種の高速 情報学習システムで、内蔵するデータバンクにたくわえた情報を、相手の脳の記憶中枢に 直接テレパシー的に伝遂し、それを瞬時にして覚えさせることができるのである。先史文 明人は、どうやらこの機械を使って、必要とする知識を即席勉強していたようだ。 そして、この機械を最初に発見したある探検家は、勇気を奮い起こして機械に座った Page 32 ことで、先史文明人の言葉に関する知識を授かったのである。先史文明人の言葉とその文 字は、現在のレルムでは“秘文語”と呼ばれており、たいていのアカデミー(学院)で教 えてもらうことができるが、それも元をたどれば、その探検家がトランスポッドから完全 な教育を受けたおかげなのだ。 しかも、同じ遺跡を訪れた何人もの人間が何度も試してみた結果、やがてトランスポッ ドの使用法がすっかり解明されるに至り、中の情報は、先史文明人とその文明を理解する うえで、数少ない貴重な資料として役立てられるようになった。このトランスポッドに备 幘されていた情報の中には、内容が高度すぎて理解するのに何十年もの研究が必要な最先 端の科学理論などもあり、その研究に一生を捧げる学者も少なくない。しかし、残念なこ とには、たくわえられていた情報の大半は、元の持ち主の個人的な趣味(しかも、どんな 趣味なのか想像することさえできないような趣味)に関する無意味なものだったのだ。 この最初のトランスボッドは、現在でもイシュメル政街が現在ん、保管しているが、機 械を移動させることができないので機械のあった遗跡の丨人の手で襄いたという逸話は、レ ルムじゅうで非常によく知られている。その街が現在のXのエリ一メリアである。 トランスポッドについては、他の国家や個人の手で新:量を持つ,が発見され、厳重に保 管されていると言われている。また、レルムのエリートレ叫ど米3る超国家紕織の“技術 協会”(ティクラット)が、最大級の記憶容量を持つ完全な機械を一台秘蔵しているとも 噂されているが、その真相は定かではない。 先史文明人の交通機関 先進的な高速交通機関は、先史文明人の築いた超機械文明を支える一本の柱でもあった。 これは、ぼくたちの暮らす現実の世界でもそうだが、発遂した文明は、それにふさわしく 発達した交通機関を必要とするものなのである。 先史文明人は、広大なレルムの惑星全土を支配していただけではなく、その支配の領域 を宇宙の隅々にまで拡大していた。当然、それだけの空間を支配下におくには、膨大な距 離をものともせずに行き来できる高性能の交通機関が必要になってくるわけだ。 こうした先史文明の交通機関は、ごく少数が発見されて使用されている。 まず自動車に相当するものとして、“ビークル”がある。 ただし、この自動車には車輪がなく、移動することができるのも陸上だけとは限らない。 陸上を走るときには、ふつう地表すれすれに浮かびあがって滑るように移動するが、必要 なら海上を走ることも、空中を亜音速で飛行することもできる。 これは、言わば万能の個人用トランスポーターで、数人の乗客を乗せて、陸海空を自在 に移動することができるのだ。 また、このビークルの中には、飛行機能を持たない低出力の陸上専用車もあり、こちら は‘‘ランドビークル’’と呼ばれている。 Page 33 これらの車铜は、先史文明人にとって最も一般的な乗り物だったらしく、比較的多数が 発見されているが、機体が保有するエネルギー残量には限りがあるので、実際に走ってい るところを見かけるのは稀である。 さらに航空機に相当するものとして、"フライヤ一’’と‘‘オーニ一ソブター’’がある。 フライヤ一は、有翼の飛翔体で、ジェットエンジンやロケットエンジンなどの噴射式の 推進機によって空を飛ぶわけではないことを除けば、ほとんど現代の飛行機と変わらない 外見をしている。推進力としては、ビークルと同じ未知のエンジンを使っているが、はる かに空を飛ぶのに適しており、最高速度と運動性能も桁違いに高くなっている。 オーニーソプ夕一は、同じ飛翔体にしても、まったく違う発想で作られた機械だ。こちら は、昆虫に酷似した外見をしており、高速で微振動する翼を使って空を飛ぶのである。 敢高速度はビークルよりは速いが、フライヤ一には遠くおよばない。しかし、その反面、 運動性能だけは驚異的で、本物の昆虫に匹敵するほどの空中機動力を備えている(先史文 明人にとって、フライヤ一が超音速ジェット機のような存在だったものと仮定すると、オ 一二ーソプターはおそらくヘリコプターのような存在だったのだろう)。 さすがにこうした航空機は発見された数も少なく、極めてめずらしい存在である。ほと んどが国家の所有となっており、重要人物の輪送や連絡業務、偵察活動などに使用されて いる。 しかし、何と言っても、先史文明人が遺した交通機関の中で最も重要な機械は、大気圈 を越えて宇宙空間をも飛行可能な超高速宇宙艇“ソーラーバージ”だろう。 このソーラ一バージは、レルム全体を探しまわってみても、わずか数機しか残存してい ないという貴重品で、そのすべてが国家の所有になっている。その性能はまさに驚くべき もので、エンジンにほんの数パーセントのパワーをくれてやるだけで、またたく間にレル ムを轻くひと回りすることができるくらいなのだ。 ソーラーバージは、そのあまりの高性能と希少価値ゆえに、発見されてから—度も限界 まで性能を試されたことはなく、実際に宇宙飛行を行なったこともない。どの機体も、所 有する国家の保管庫 に安全にしまいこま れており、よほど差 し迫った必要でもな ければ使用されるこ とはないであろう。 これこそは、‘‘遗 産の中の遺産”と呼 ぶにふさわしい機械 なのである。 Page 34 スレイブマシンとマシンビースト 先史文明人の超機械文明を支えていたもう一本の 柱に、各種さまざまな‘‘スレイブマシン”と呼ばれ る自動機械がある。 ここで言う自動機械とは、あらかじめインプット された一定の指示に従って簡単な命令を実行するだ けの初歩的なロボットとは異なり、直接指示を受け なくても状況に応じて自主的な判断を行なうことが できる、离度に進化した機械生命体のことだ。 先史文明人は、人間にかわって単純な作業を行う 疲れしらずの労働者として、はたまた、個人の従僕 や護衛として、こうしたスレイブマシンを好んで使 用していたらしい。 そのため、レルム全土に散らばる多数の遗跡から は、外見は言うにおよばず、種類も機能もまったく 異なるスレイブマシンが何体も発見されている。 機械体の多くは、先史文明が滅亡したときに機能に何らかの障害を来たしたり、仕える べき主人を失って長い待機状態にあるものがほとんどだが、中には、現在に至るまで太古 の命令を着実に果たし続けているものもある。 ところで、こうしたスレイブマシンには、どれにも高性能の人工脳が組みこまれており、 言葉さえ通じれば、自分に仕えるように機械体を説得することができるのだ。また、たと え言葉で屈服させることができなくても、各機械体とペアになっている“コントロール. キイ”を手に入れれば、無条件で相手を支配することもできる。運よくスレイブマシンを 発見できたときには、誰にもその機械体の主人になれるチヤンスがあるのである! こうしたスレイブマシンは、貴重な研究材料であるとともに、それ自体が先史文明の生 きた証人でもある。技術協会や各国のアカデミーでは、何体かの機械体を管理下に置いて、 先史文明の遗産の研究に役立てているが、研究材料にするのではなく、実際に使用されて いる例も比較的よく見かけられる。 たとえば、エンジニアとしての機能を持つ機械体が、同じ先史文明の機械を修理するた めに使用されていたり、医療技術者としての機能 を持つ機械体が、人間の手では不可能な手術を肩 がわりするために使用されていたりと、発見され た機械体は、その機能に応じて、さまざまな側面 でレルムの生活に貢献しているのである。 Page 35 ただし、スレイブマシンの中には戦闘を目的として作られた危険なタイプも存在する。 これは、文字通りの意味で、戦うためだけに作られた戦闘マシーンなのだ。 戦闘用の自動機械は、"マシンビースト”と呼ばれている。機械体が動物やその他の生 き物の姿を真似て作られているからだが、その動作と反応速度にしても、機械とは思えな V、ほどで、まるで本物の生き物のようにすばやく滑らかな動きをする。その点でも、機械 の獣と目'うにふさわしいというわけだ。 しかも、この機械生物は、致命的な先史文明の殺人兵器を数多く装備している。獣は獣 でも、ふつうの猛獣などとはくらべものにならないくらい危険な存在なのだ。 マシンビーストは、そもそも重要な施設の.警備要員として使われていたもので、文明の 滅亡を生き延びた機械体は、建物が廃虚となったいまでも、太古の使命を忠実に果たし続 けている。侵入者から遗跡を守ろうとして残骸の中を徘徊するマシンビーストに殺された 探検家の数は、かなりの人数にのぼるであろう。 また、同じマシンビーストでも、さらに強大な戦闘能力を持つ人間型の機械体は、“ガ ―デイアン’’として知られている。 このガーデイアンは、一体でマシンビースト数十体をあわせただけの戦闘力を有してお り、先史文明華やかなりしころには、情け容赦なく敵を殲滅する自動攻擊兵器として使用 されていたらしい。 ガーデイアンの実物は、まだ存在が確認されたわけではないが、その存在を暗示する断 片的な証拠はいくつも発見されている。その証拠によると、ガーデイアンには一体として 同じものはないとか、主人である所有者と精神的に同調することができるとか言われてい るが、それが真実かどうかは定かではない。 いずれにしろ、先史文明の遗産も、受け継ぐだけの価値があるものばかりとは限らない のである。 Page 36 秘光石 先史文明人の遗產を語るなら、最後に秘光石についても触れておぐ必要があるだろう。 ところで、秘光石とは一体どんなものなのであろうか? 秘光石は、水晶によく似た多面体の結晶構造物で、石の中に淡い光を宿しているところ から、秘光石(光を中に秘めた石)と呼ばれている。ただし、秘光石にも種類があり、石 が発する光の色はさまざまで、強さもひとつひとつ微妙に異なっている。 これは、たしかに変わった石である。しかし、一見しただけでは、めずらしい宝石か何 かに見えるくらいで、この石の本当の価値を想像することなどできないだろう。 そもそもこの石は自然にできたものではない。自然に産するものではなく、先史文明人 によって人工的に作られたものなのである。 実のところ、秘光石は、膨大なエネルギーを保存しておくための容れ物なのである。言 わば一種の燃料電池だ。ただし、この場合、中に封じこまれているエネルギーの総量は、 優に原発数基にも匹敵する。先史文明人は、大量のエネルギーを簡単、かつ安全にとり扱 うひとつの手段として、秘光石を生み出したのだ。先史文明人の機械は、すべてこの秘光 石を動力源としているのである。 もっとも、それ以外で秘光石についてわかっていることといえば、石の出す光の色によ ってエネルギーの種類が違うこと、光の強さがエネルギーの残量を表わしていること、石 をいくつかに割ったり、削っ削らたて機械にあうように加工することができることくらい で、ほとんどが謎のままに残さ残さいる。 しかし、秘光石は稀にしか見つからないことと、その動力源としての必要性から、莫大 な金銭価値を持っている。ある意味では、先史文明人の遗産の中でも、誰もがいちばん手 に入れたいと願っているのは、この秘光石なのかもしれない。 Page 37 サイ才ニクス PSYONICS Page 38 サイ才ニクスとは? 超能力と言っても、その意味するところはまちまちだ。たとえば、超能力を“ESP” と呼ぶこともあるが、このESPとは、「超感覚的知覚」という意味で、本来は超能力の 中でも、人間の精神に秘められた第6の感覚としてのクレアボヤンス(透視)やテレパシ 一(精神感応)のことだけを指している。そこには、誰もが知っているテレポート(観念 移動)やテレキネシス(観念動力)などの超能力は含まれていないのである。 トゥルーレルムでの超能力、すなわち、サイオニクスは、「生命体の精神に宿る潜在的 な特殊能力である」と定義することができる。どんな生き物でも、ある程度発達した自我 の意識を有している限り、強弱はともかく、このサイ才ニクスの能力を持っているのであ る。トウルーレルムには、ある棟の植物のように、群れ全体でひとつの疑似精神を作り出 し、サイオニクス能力を発揮する生物までいる。しかも、レルムで言うところのサイ才ニ クスには、ほぼありとあらゆる種類の超能力が含まれている。ESPに属する能力もあれ ば、“サイキック”(テレポートやテレキネシスなど)に属する能力もある。見た目がど んなに奇妙な超能力であろうと、純粋に精神による力であれば、それはサイ才ニクスの範 嘛に含まれるのである。 特に、人間族を始めとするレルムの知的種族は、厳しい自然に打ち勝って文明を築くに あたって、サイオニクスの能力に大きく依存してきた。たとえば、医学の知識が未発達だ った過去の時代には、治癒能力の持ち主こそが、ただひとっの治療手段だったのだ。サイ 才ニクスがなければ、今日のレルム文明の大発展は決して成しえなかったと言えるだろう。 サイオニクスの特性 一般サイ才ニクス能力は、その性过の違いから、完全に独立した7系統の能力にわかれ ている。各能力は、それぞれ“プレコグニシヨン(霊視〉”"テレパシー(精神感応〉’’ “テレポート(観念移動)"“テレキネシス(観念動力)”“エンパシー(情動感応)” "ボディエンハンス(肉体強化)” “ヒーリング(治癒)”である。 ブレコグニションは、超感覚的にものを知覚する能力で、壁の向こう側を透かし見たり、 生命体や危険の存在を感じとることができる。過去の光景をのぞきこんだり、未来を予知 することもでき、さらには、手で触れたものを通じて、その品物の由来を知ったり、それ に間わりのあるヴィジョンを見ることもできるのである。 テレパシーは、生き物の稍神に直接思念によって接触し、心と心で会話したり、相手の 思念を読みとる能力だ。催眠暗示をかけて他人を思い通りに操ったり、五感を混乱させて 幻覚を見せることもできる。逆に、精神攻撃から身を守るためにも必要な能力である。 Page 39 テレポートは、空間の隔たりを一瞬にして飛び越えて移動する能力だ。しかも、離れた ところにあるものをとり寄せることもできれば、空間を歪めて次元のはざまに潜りこむ ともできる。 テレキネシスについては、説明するまでもないが、簡単に言えば、手を触れずに物体を 動かす能力だ。しかし、ただ何かを動かすだけではなく、これを応用してさまざまな現象 を引き起こすことができる。特に光や熱などのエネルギーを操ることで、弾やビームを防 ぐ防護シールドを張ったり、光弾を擊つことができるのである0 テレキネシスは、バイロキネシス(発火)、ライトキネシス(発光)などの副能力にわ かれている。 エンバシーは、テレパシーに似た能力だが、扱うのが思念ではなく感情なので、植物な どとも心で交流することができる。また、傷ついた生き物と精神的にシンクロして、自分 が傷を受けることで相手の傷を癒すこともできる。 ボディエンハンスは、おのれの肉体を意識的に操作する能力で、代謝機能を加速して受 けたダメージを再生したり、筋力や反応速度を飛躍的に高めることができる。しかも、そ れだけではなく、肉体を変形させて、他の人間や動物に変身することすらできるのだ。 そして、最後のヒーリングは、傷を治し病を癒す能力だ。失われた器官を再生すること はもちろん、死亡して間もない生き物なら蘇生させることもできるのである。 Page 40 特殊サイオニクス能力 この特殊サイ才ニクス能力は、一般的な7系統のサイオニクス能力に含まれないサイ才 ニクスすべてを意味している。逆に言うと、そこには、ありとあらゆる奇妙なサイオニク ス能力がことごとく含まれているのである。 ごくふつうのサイ才ニクス能力でも、有効な潜在能力の持ち主は数百人にひとりしか存 在しないが、特殊サイ才ニクスにもなると、その比串は数万人にひとりのオーダーにまで 跳ねあがる。それだけに、この特殊サイ才ニクス能力は、真に貴重でかけがえのない才能 だと言えるだろう。 ただし、特殊であるということはたしかにそれだけで貴重なのだが、ともすると、あま りに特殊すぎて単にめずらしいだけの能力で終わってしまうこともある。 特に能力を応用できる範囲が広く、各系統ごとにたくさんの発展能力を持つ一般サイオ ニクスとは異なり、特殊サイオニクスはただひとつの限定されたことしかできないばあい が多い。そのぶん一芸に秀でているわけだが、その芸が役に立たないものだったりすると、 まったくお話にならないみの)と妒存こで、ゲームの中での特殊サイオニクス能力は、本 当の意味で重要ないくつか、らして、?义^こんでしまうことにする。 () ブースト:他人のサイオまクス能力の働きを強化する。 () ブレンデイング:カメ!^ンのように、背景に溶けこんで姿を見えなくする。 () アンチサイオニクス:す卜てのサイオニクスを無条件で打ち消すフィールドを発生させる。 () ミラー:他人のサイオニクス能力をそっくり真似する。 () レイスフオーム:非実体化して、壁などの障害物を通り抜ける。 () タイムシフ卜:時の流れを加速したり減速したりする。 () ラック:無意識のうちに現実を好都合なものに修正し、致命的な危険や失敗を回避する。 レルム社会とサイオニクス トウルーレルムでは、社会(あるいは、文明そのもの)とサイオニクスはわかちがたい ほど密接な関係にある。何と言っても、過去の歴史からして、強力なサイオニクスの能力 に後押しされて文明が発達してきたのだから、それも当然のことなのだが。 しかも、現在でこそ数が少なく、質も低くなってしまったとはいえ、本来サイオニクス 能力の持ち主は決してめずらしい存在ではなかった。現在でも、有効なだけの水準に達し ていないだけで、わずかばかりのサイ才ニクスの潜在能力を持っている人間(たとえば、 ごくたまに強い感情が読みとれるだけの微弱なテレパシー能力の持ち主など)まで含める と、その人数は膨大なものになるだろう。 そのため、一般の暮らしにおけるサイオニクスの浸透ぶりには目を見張るものがある。 ここで、サイ才ニクスと社会の結びつきをわかりやすくするために、ひとつの例として、 参考までに一般サイ才ニクス能力と職業の関係を挙げておこう。 Page 41 ブレコグニシヨン.......重視能力を最大限に発揮できる警察の調査官や先史文明の遗物の鑑定人 になったり、未来を見通す能力を生かして神官や占星術師になったりする。 テレパシー...........都市と都市を結ぶテレパシー連絡網の中核となる精神通信士が最も多い が、他にも読心能力を生かして通訳や外交官になったり、梢神の深みを探 る心理学者などの研究職に就くこともある。 テレポ—卜............もっぱら軍人やスパイとして活躍しているが、テレパシー連絡網を使わず、 重要な文書などを直接運ぶ際には、往復の伝令役もこなす。 テレキネシス..........軍人がほとんどだが、手を使わずに精密な作業を行なえるので、職人や技 師、芸術家などや、稀にエンターテイナーになることもある。 Iエンパシー...........基本的にはテレパシー能力者と同じだが、その能力が特に心の傷などを癒 すのに有効なため、精神科医のような職に就くことも多い。 ボディエンハンス........軍人の他、格闘家、サーカス芸人など、自然と体を使う職業が多くなって いる。 ヒーリング............治癒能力を生かせる医療閱係がほとんどで、神官になることもある。 もちろん、ここに挙げたサイオニ クス能力と職業の関係はあくまでひ とつの例にすぎないのだが、レルム 社会の中でサイオニクスの占めてい る役割は、これでだいたい見当がつ くことと思う。 Page 42 Image Page 43 胃然と生物 NATURE & LIFE Page 44 レルムの自然と生物 トゥル一レルムは広大な惑星世界である。その大きさは、表面憤にして地球の約50倍は あろうかという、想像をはるかに上回るスケールを誇っている。しかも、それだけ広大な 世界のうち、人間族を始めとする知的種族が住んでいるのは、多く見積っても、わずか10 %に過ぎない。残りの90%は、人間が足を踏み入れたことのない未知の領域であり、有史 以前の未開の状態のままに保たれているのである。すなわち、トゥルーレルムでは、生命 の象徴たる大いなる自然が、脆弱な文明を圧倒して、惑星のほぼ全域を支配していると言 うことができる。そして、レルムの雄大な自然は、生命の変化にも満ち満ちている。トゥ ルーレルムは、まさに生命のるつぼと言うにふさわしい世界なのである。 トゥルーレルムがそのような生命に満ちあふれた世界になったのも、決してゆえなきこ とではない。 その理由としては、まず第一に、レルムの自然が、長らく変わらざる未開の状態にとど まっていることが挙げられるだろう。レルムの自然が、変化にとんだ、おびただしい数の 生命を育むことができたのも、文明の干渉を受けない状態が長く続いたからなのである。 トゥルーレルムでは、こうして誕生した無数の新たなる生命が、うるさい人間に邪魔さ れることなく、联しい自然淘汰の波にもまれながら、種の存続をかけて、終わりなき進化 と滅亡のサイクルを繰り返してきたのである0 そして、第二に、レルムの自然の持つ、他に類を見ないほどの豊饒さが挙げられる。 トゥルーレルムは、惑星として見ると、全体的に温暖で雨の多い世界である。そのため、 レルムじゅうで、さまざまな植物が花を咲かせ、枝を伸ばして、繁栄の限りをつくしてい る。そのありさまは、さながら、果てしなく広がるジャングルが惑星全体をすっぼりとつ つみこんでいるかのようであり、文字通り、緑したたる惑星なのである。 そのうえ、レルムの表面積の3分の2を占める海洋がある。この海は、緑におおわれた 大陸よりも、さらに恵みが豊かで、生物の生存にもずっと適している。 この肥沃なジャングルと恵み多き海洋が、言わば、巨大な孵卵器となつて、レルムの多 種多様な生き物を生み出したのである。 ともあれ、このようにしてトゥルーレルムは、想像しうる限りのありとあらゆる生き物 が雑然とひしめきあう世界となっている。 Page 45 自然界に生息する生き物 レルムには、文明圈近くに生息していたり、探検家によってその存在が確認されたりし てよく知られているものだけでも、おびただしい数の、さまざまな種類の生き物が生息し ている。 そのうえ、人知れず辺境の奥深くに生息する生き物もいる。そのような生物には、特に 奇妙なものや特異なものが多く、その種類もまた膨大な数に達すると思われるのだが、実 際に確認された例は、そのうちのごく少数にすぎない。本当に何が生息しているかという ことになると、想像に頼るしかなく、何がいても決しておかしくないとしか言いようがな いのである。 しかし、レルムの自然界に生息する生き物には、いくつかの顕著な特徴が見受けられる。 たとえば、トウルーレルムには、われわれの住むこの太陽系の惑星に生息している生き 物のうち、大半のものが生息している。そこには、猫、猿、羊、狼などの哺乳類もいれば、 トカゲ、ワニなどの爬虫類、カエル、イモリなどの両生類もいる0魚や昆虫もしかり。ま た、植物にしてもそうなのである。特に目をひくのが、トウルーレルム全土に生息する新 種の恐竜たちだ。 この新種の恐奄たちは、かつての鈍重で適応性に欠けた仲間とは違って、耐久力にとみ、 動きがすばやく、感覚や知能の点でもじゆうぶんな発達を遂げており、そして、何よりも 抜群の適応性を備えている。恐竜たちは、陸海空と、レルムのありとあらゆる領域に生息 しているが、それも彼らの持つすぐれた適応性ゆえのことである。 ある意味では、ありあまるほど豊かなレルムの自然が、これらの大型爬虫類を生み落と し、彼らが生き残り、高度な進化を遂げるのを後押ししたのである。言わば、レルムに生 息している恐竜たちは、この惑星の豊饒な自然の申し子とも言うべき存在なのである。 Page 46 変性獣と合成獣 もちろん、トウルーレルムには、われわれの住む世界と同じか、それとよく似た生き物 の他にも、まったく他には見られないような生き物も多数存在する。 その中でも、レルム独自の生き物として最も象徴的なものに、“変性獣”と“合成獣” がある。 変性獣(ヌル-ビースト)というのは、外見こそふつうの生き物と同じだが、能力や性 質などの点で大きな変化を遂げ、オリジナルの生き物とはまったく違う生物になってしま った突然変異体のことである。例を挙げると、狂暴な肉食アルマジロとか、空中を飛行す る飛びエイとかである。 かたや、合成獣(キマイラ)とは、複数の生き物の能力や外見をあわせ持つ生き物のこ とを意味する。たとえば、クモと力ニを掛けあわせたような生き物とか、トラにコウモリ の翼を生やしたような生き物などが存在するのである。 もちろん、自然界のことわりを無視した、そのような生き物が何もないところから生ま れ出てくるとは信じがたいことである。これはあくまで想像だが、おそらく合成獣は、先 史文明人が作り出した人工の生命体だろうと思われる。 実際のところ、この合成獣を別にしても、先史文明人がトウルーレルムの自然にあたえ た影響は多大なものがある。マシンビーストの中には、野性化して本物の動物のように暮 らしているものもあるが、卩尊では、機械と有機質の肉体をあわせ持つ、サイボーグのよう な生き物まで生息しているとも言われているのである。